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ゼロから始めるNPO法人設立

次に挙げる20の分野で不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とし、且つ法人格を取得した組織のことを特定非営利活動法人といいます。これがNPO法人となります。

保健、医療又は福祉の増進を図る活動

社会教育の推進を図る活動

まちづくりの推進を図る活動

観光の振興を図る活動

農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動

学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

環境の保全を図る活動

災害救援活動

地域安全活動

人権の擁護又は平和の推進を図る活動

国際協力の活動

男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

子どもの健全育成を図る活動

情報化社会の発展を図る活動

科学技術の振興を図る活動

経済活動の活性化を図る活動

職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

消費者の保護を図る活動

前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

特定非営利活動促進法第2条の別表

すでにボランティアや社会貢献活動の経験がある方や、これから始める場合でもNPO法人として活動する際には上記の中から選択し定款に記載することになります。活動内容に当てはまるものを選択してください。1つに限定する必要はありませんし、今はできないことでも将来取り組む可能性のある項目はあらかじめ入れておくとよいでしょう。

設立時には10名の参加者が必要

株式会社や合同会社は資本金があれば設立可能です。利益を出して納税するのが法人の目的だからです。設立手続き自体のハードルは高くありません。しかし、NPO法人は社会貢献活動を目的とした団体ですので、資本金は設立要件ではなく、かわりに設立当初10名以上の参加者が必要となります。

我々の社会が提起する諸問題に対して、誰かが何かをやらなければならないこととは分かっていても、自分がやるべきことなのかと自問自答するのは普通のことです。たくさんある世の中の課題についてどのようにアプローチしていくか。ある人は政治家になり世の中を良くしたいといい、ある人は資本力で解決できると考えます。ただ大局的な方策だけでは細かな諸問題まで人の思いが行き渡らないのも事実です。

社会貢献活動は、人の地道な活動によって支えられており売上を上げるための営業行為とは違うもの。設立の趣旨に賛同した人々の結束力やアイディア、行動力によってしかなしえないこともたくさんあると思います。

ある方は、被災地に食料や衣服など送り届けていた経験があり、ボランティア活動にも熱心でした。もっと主体的に活動できないだろうかと役所に相談してみると、NPO法人を設立してみてはどうですかとアドバイスを受けます。そこでボランティア活動に協力してくれているメンバーに相談しているうちに目的意識が明確になりNPO法人として活動することが決まりました。

設立趣旨書とは

NPO法人は各都道府県知事が認証した後、法務局で法人登記することで成立します。所轄庁に提出する書類は10種類ほどあります。その書類の中で設立趣旨書はとても重要な位置づけにあります。

【設立趣旨書の内容】

・定款に定められている目的や事業に係る社会経済情勢や問題点

・活動実績がある場合は、これまで取り組んできた活動内容等

・法人の行う事業が不特定多数の者の利益に寄与する理由

・法人格が必要となった理由

まずこれらを整理します。そして法人の設立を発起し、申請するに至った動機や経緯を1枚のペーパーに記すことになり、この内容がNPO活動の基本となります。定款は組織団体のルールが規定されているのに対し、設立趣旨書は法人の核心の部分といってもいいでしょう。

設立趣旨書は事務局に常備しておく書類です。困難にぶつかったときや初心に戻りたいとき、活動の動機を確認する際に役に立ちます。

NPO法人の資金調達

NPO法人を設立するときには運転資金のことは忘れがちですが、いざ活動を始めようとするとすぐに必要になります。

NPO法人の資金調達の一例として次に紹介する内容を参考にされてください。

1.正会員の会費

活動資金は法人設立時から必要になるので、設立発起人会の段階から打合せをしておく項目となります。例えば、初期メンバーである正会員10名に入会金5千円と年会費1万円を納めていただくと15万円ほどの資金は確保できます。

2.金融機関からの融資

日本政策金融公庫 JFCはソーシャルビジネス支援を行っています。その他、社会貢献活動に協力的な地銀もあるので、まずは相談してみることをおすすめします。融資の申し込みの際には、所轄庁に提出した「事業計画書」や「活動予算書」をベースに申請書類を作成するので、法人設立時から2年先まで見据えた計画を立てましょう。

3.寄附

特定のNPO法人を積極的に応援、支援したいという方や法人は賛助会員になっていただくと良いと思いますが、もっと気軽に社会貢献したいという人からの寄附もあります。

ろうきん(労働金庫)が社会貢献活動の一環として、「NPO寄附システム」に取り組んでいます。

これはろうきんの口座を持っている人が支援したい分野のNPOを選んで寄附をするというもの。特定のNPO法人とお付き合いがない、どのNPO法人に寄附していいか分からない人にとって始めやすい社会貢献です。

4.公益財団などからの補助金

一般財団法人や公益財団が、NPO法人の助成事業を行っているので、募集要項、締め切りなどに注意して応募してください。地元の財団のホームページを定期的にチェックすると、新規事業を募集していることがあります。財団には地元の企業からの寄附が寄せられていて、善意の循環としてNPO法人の活動があるという構図になっています。

5.クラウドファンディング

活動に必要な目標金額を掲げ寄附を募るクラウドファンディングは、サイト運営者に成功報酬を支払う代わりに、不特定多数から少額の資金を集めることができます。

 

 

まとめ

NPO法人(特定非営利活動法人)の設立手続きは、以下のような流れになります。

設立準備

  • 活動目的がNPO法の定める20分野に該当するか確認
  • 役員(理事3名以上、監事1名以上)を決める
  • 事務所の所在地を決める

定款の作成

  • 目的、事業内容、役員構成、運営方法を定める
  • 公証人の認証は不要(株式会社とは異なる)

設立総会の開催

  • 定款の承認
  • 役員の選任
  • 事業計画・予算の承認

所轄庁へ申請

  • 都道府県または市区町村へ認証申請
  • 必要書類:定款、役員名簿、設立趣旨書、事業計画書、収支予算書など

 認証取得(審査期間:約2~4か月)

  • 所轄庁の審査後、認証が得られる

法務局で法人登記(認証後2週間以内)

  • 登記申請書、定款、認証書、役員名簿などを提出

活動開始・税務手続き

  • 税務署、都道府県税事務所、市町村役場に届出
  • 銀行口座の開設、助成金や補助金の申請準備

手続きには3~6か月かかることが多いため、余裕をもって進めることが重要です。

お手伝いできること

定款の作成、設立総会の議事録作成、所轄庁への申請のサポートができます。

その他、NPO法人の設立には各種様々な書類が必要となりますのでご不明点ございましたらお気軽にご相談ください。