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遺言執行者ができること

遺言執行者は、遺言の内容を実行するための法的な権限を持つ人です。民法では、遺言執行者が指定された場合、相続人はその執行を妨げることができません(民法1013条)。
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1. 遺言執行者の主な役割
遺言執行者は、遺言の内容に従い、相続手続きを進める責任を負います。具体的には以下のような業務を行います。
① 遺言の内容を相続人に通知
• 遺言書の内容を相続人や受遺者(遺産を受け取る人)に伝える。
• 相続人に対し、遺言に基づいた手続きを開始する旨を説明する。
② 相続財産の調査と管理
• 遺言に記載された財産(不動産、預貯金、株式、貴金属など)を調査・確定する。
• 必要に応じて財産目録を作成し、相続人に提示する。
• 遺産分割が終わるまで、遺産の管理を行う。
③ 預貯金・不動産の名義変更や解約
• 銀行口座の名義変更や解約手続きを行い、相続人に分配する。
• 不動産の名義変更(相続登記)を行う。
④ 相続税の申告・納付手続き
• 遺言の内容によっては、相続税の申告・納付が必要になるため、税理士と連携して手続きを進める。
⑤ 特定の相続人や受遺者への遺贈手続き
• 「〇〇に○万円を遺贈する」などの指示がある場合、その手続きを実行する。
⑥ 借金や未払い金の精算
• 被相続人(故人)の負債がある場合、財産から返済する。
⑦ その他の遺言の実行
• 認知の届出(「○○を自分の子として認知する」という遺言がある場合、役所に届出)
• 相続人廃除・廃除の取消の手続き(特定の相続人の相続権を排除する場合)
• その他、遺言に書かれている特別な指示の実行
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2. 遺言執行者にできないこと
遺言執行者には強い権限がありますが、以下のことはできません。
🚫 遺言の内容を勝手に変更する
→ 遺言執行者は遺言の内容に従う義務があり、独自の判断で内容を変えることはできません。
🚫 相続財産を私的に処分する
→ 遺言で指示されていない方法で財産を売却・譲渡することはできません。
🚫 相続人間の遺産分割協議に介入する
→ 遺言書に遺産分割方法が記載されていない場合、相続人が協議して分割方法を決めます。遺言執行者は関与できません。
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3. 遺言執行者の選び方
✅ 選ぶべき人
• 弁護士・司法書士・行政書士・信託銀行(手続きに詳しく、確実に執行できる)
• 信頼できる親族(家族間でトラブルが起きない場合)
❌ 避けるべき人
• 遺言内容に反対しそうな人
• 相続人間でトラブルの原因になりそうな人
• 手続きが難しくて対応できなさそうな人
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4. 遺言執行者を指定しないとどうなる?
遺言執行者がいない場合、相続人が自分で手続きを進めることになります。しかし、相続人の間で意見が対立すると遺言の実行がスムーズに進まない可能性があります。そのため、特に財産の分配が複雑な場合は、遺言執行者を指定するのが望ましいです。
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まとめ
✅ 遺言執行者は、遺言の内容を実行するために重要な役割を持つ。
✅ 不動産や預貯金の名義変更、遺贈の手続き、借金の精算などを行う。
✅ 勝手に遺言を変更することはできない。
✅ 弁護士や信頼できる人を指定するのが望ましい。
📌 遺言の内容によっては、専門家(弁護士・行政書士)に相談して決めるのがおすすめです。