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退職・解雇の適正対応

企業において、従業員の退職や解雇は避けられない出来事ですが、適切な手続きを踏まないと労働トラブルや法的リスクを招く可能性があります。
特に解雇は労働者の生活に大きな影響を与えるため、法律や判例に基づいた慎重な対応が求められます。

本記事では、退職と解雇の適正対応について、企業が押さえるべきポイントを詳しく解説します。

1. 退職の適正対応

📌 退職とは?

「退職」とは、従業員が自己都合や会社都合により労働契約を終了することを指します。

退職には以下の種類があります。

自己都合退職: 従業員が自ら退職を申し出る(転職、家庭の事情、健康問題など)
会社都合退職: 会社側の都合により退職(リストラ、倒産、契約満了など)
合意退職 :会社と労働者の合意のもと退職する(退職勧奨、希望退職など)

✅ 退職希望者の対応(企業がやるべきこと)

自己都合退職の場合、企業は以下の点に注意しながら適正に対応する必要があります。

✅ 退職の申し出は就業規則を確認する

民法627条により、労働者は2週間前に退職を申し出れば辞めることが可能
ただし、就業規則で「1カ月前までに申し出る」と定めている企業も多い
就業規則に沿った対応を従業員に求めるが、あくまで法律が優先される

✅ 退職願の提出を求め、記録を残す

口頭ではなく、書面やメールで退職願を提出してもらい、証拠を残すことが重要
退職の意志を会社側が確認した証拠として保管

✅ 引継ぎ業務を明確にし、スムーズな退職をサポート

退職日までに業務の引継ぎを計画的に行う
引継ぎリストを作成し、担当者を明確にすることで業務の混乱を防ぐ

✅ 未払いの給与・有給休暇の清算

未払いの給与、未消化の有給休暇がある場合は、適切に清算する義務がある
退職時の給与精算を怠るとトラブルの原因になる

✅ 退職証明書の発行

労働者が求めた場合、「退職証明書」や「離職票」を速やかに発行する義務がある

💡 ポイント

退職を引き止める場合は、無理強いせず、あくまで本人の意思を尊重する
円満退職に導くことで、企業の評判や社内の士気を守ることができる

2. 解雇の適正対応(慎重な判断が必要)

📌 解雇とは?

解雇とは、企業が一方的に従業員との雇用契約を終了させることを指します。
解雇は労働者の生活に大きな影響を与えるため、労働基準法や判例に基づいた厳格な手続きが必要です。

✅ 解雇の種類(企業が知っておくべき3つの解雇)


普通解雇 :企業が業務遂行能力不足や勤務態度不良を理由に解雇する 「客観的合理性」と「社会的相当性」が必要
懲戒解雇 :労働者の重大な違反行為(横領、暴力行為など)により解雇する 就業規則に明記されていることが必須
整理解雇 :会社の業績悪化に伴い、人員削減のために解雇する 「整理解雇の4要件」を満たす必要あり

✅ 解雇の適正手続き(法的リスクを回避するための対応)

1️⃣ 解雇の合理的な理由があるか確認する

解雇は「客観的合理性」と「社会的相当性」が必要(労働契約法16条)
裁判では「解雇は妥当であったか」が厳しく審査される
解雇の前に指導・注意・懲戒処分を行い、改善の機会を与えることが重要

2️⃣ 解雇の事前予告を行う(30日前の予告義務)

労働基準法20条により、解雇を行う場合は少なくとも30日前に解雇予告をする義務がある
30日前の予告ができない場合、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支払う必要がある

3️⃣ 整理解雇の場合は「4要件」を満たすこと

整理解雇を行う場合、以下の「整理解雇の4要件」を満たしているか確認が必要。

人員削減の必要性 経営悪化など、人員削減が避けられない状況であること
解雇回避努力: 配置転換・希望退職募集など、解雇を回避する努力をしたか
解雇対象者の合理的選定 解雇の基準が公正・合理的であること
労働者との協議 解雇について、労働者と十分に協議を行ったか

💡 ポイント

解雇は最後の手段として慎重に判断する
解雇をめぐるトラブルが多発しているため、専門家(社会保険労務士や弁護士)に相談するのが望ましい

3. まとめ(適正な退職・解雇対応が企業の信頼を守る)

✅ 退職は本人の意思を尊重し、就業規則に沿った手続きを行う
✅ 解雇は法律・判例を考慮し、「客観的合理性」と「社会的相当性」を満たす必要がある
✅ 企業の信頼を守るため、円満退職・適正解雇を意識した対応が重要

企業が適正な対応を行うことで、労働トラブルを未然に防ぎ、職場の安定や企業イメージの向上につながります!