1. 労働契約書とは?
労働契約書とは、労働者と会社が雇用契約を結ぶ際に取り交わす書面です。
労働基準法では、労働条件の明示が義務とされており、書面での交付が求められる項目があります。
💡 ポイント
✅ 労働契約は 口頭でも成立 するが、トラブル防止のため必ず書面で契約書を作成するのが望ましい
✅ 労働基準法第15条により、企業は「労働条件通知書」を交付する義務がある
2. 労働契約書に記載すべき内容(必須)
労働契約書には、次の6項目を必ず記載する必要があります(労働基準法第15条)。
この6項目は「絶対的記載事項」と呼ばれ、書面(または電子交付)で通知することが義務づけられています。
📌 絶対的記載事項(6項目)
① 労働契約の期間(雇用期間の有無、契約更新の基準など)
② 就業場所・業務内容(勤務地、担当業務の範囲)
③ 労働時間・休憩・休日(始業・終業時刻、休憩時間、時間外労働の有無など)
④ 給与・賃金の決定方法(基本給・手当・計算方法・締め日と支払日)
⑤ 退職・解雇に関する事項(退職手続き・解雇の事由・定年制度)
⑥ 契約更新の基準(有期雇用の場合)
💡 ポイント
✅ 正社員・契約社員・アルバイトのすべてに適用される
✅ 企業側は「書面」または「電子交付」で労働条件を通知しなければならない
✅ 未記載のまま雇用すると、企業が不利になる可能性あり(例:残業代請求トラブル)
3. 記載が推奨される内容(任意的明示事項)
以下の内容は、法律で義務付けられていませんが、トラブル防止のため記載が推奨されます。
✅ 試用期間の有無と期間(例:3か月間の試用期間あり)
✅ 昇給・賞与の基準(例:業績に応じて年1回昇給の可能性あり)
✅ 残業手当・深夜手当の計算方法(例:時間外労働は基本給の1.25倍を支給)
✅ 福利厚生(交通費支給、社宅制度など)
✅ 就業規則の適用範囲
💡 ポイント
企業がトラブルを防ぐため、より詳細に労働条件を記載することが望ましい
4. 労働契約書の注意点(トラブル防止)
❌ よくある問題点と対策
1️⃣ 「口約束」のみで契約を結ぶ → NG
→ 必ず書面または電子データで交付し、後から証拠を残す
2️⃣ 労働条件が曖昧で後からトラブルになる
→ 「賞与は会社の裁量」「残業代は給与に含む」など、不明確な表現を避ける
3️⃣ 「固定残業代(みなし残業)」の記載ミス
→ 固定残業代の金額・時間・超過分の支払いを明記しないと違法になる
4️⃣ 解雇や雇止めのルールが不明確
→ 解雇・雇止めの基準を明確に記載し、不当解雇のリスクを回避
5️⃣ 「試用期間中は有給なし」と記載 → 違法
→ 試用期間中でも有給休暇は発生するため、ルールを誤解しない
💡 対策:労働契約書と就業規則をリンクさせ、詳細なルールを明文化する
5. 労働契約書の法的効力と適用範囲
✅ 労働契約書は労使双方が署名・捺印し、各1通ずつ保管する
✅ 就業規則と労働契約書が異なる場合、労働者に有利な方が適用される
✅ 労働条件が変更される場合は、従業員の同意を得る必要がある
6. まとめ(労働契約書のポイント)
✅ 労働契約書はトラブル防止のため、必ず書面または電子交付で作成する
✅ 6つの絶対的記載事項(契約期間・業務内容・給与など) を明記する
✅ 不明確な表現を避け、固定残業代・解雇条件など詳細に記載する
✅ 労働者と企業の双方が納得し、契約書を適切に管理する
労働契約書を適切に作成し、安心して働ける環境を整えましょう!